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日本実験動物技術者協会は、実験動物科学の一翼を担う実験動物技術者の全国的な組織です。

第55回総会事務局

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セミナーSEMINAR

教育セミナー 「コロナ禍における大学動物施設の対応と教訓」

                         2021年10月16日(土) 13:00〜14:00

                      藤田医科大学 疾患モデル教育研究サポートセンター
                                教授 長尾 静子先生

 大学の動物施設では、危機管理として、地震や火災を想定したマニュアルを策定し、消耗品を備えてきた。また、実験動物の微生物学的品質を保証する手段としてコロナウイルスに対する基礎知識を蓄え、生殖工学技術によりマウスの凍結胚や凍結精子によるバックアップ体制を整備してきた。今回初めて大学の動物施設がヒトの新興感染症対策を迫られた。この経験から学んだことを踏まえて、危機管理のひとつとして、大学動物施設においてヒトの新興感染症の発生に備えるべき点を、皆さんと考えたい。



セミナーT 「コロナ禍における生産場での対応」

                      2021年10月16日(土) 14:00〜15:00


コモンマーモセット生産現場におけるコロナ禍での対応
                       前田 哲先生(日本クレア株式会社)
 2019年末から流行が始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。現在では世界中にその感
 染が広がっている。2021年7月現在、日本国民への全国的なワクチン接種が急速に行われているも
 のの、収束の目処は立っていない。
 コモンマーモセットに関する研究では他の非ヒト霊長類と比較してSARS-CoV-2に対しての感受性
 が低いという報告があるが、実験動物(コモンマーモセット)の生産現場でのCOVID-19への対応に
 おいて最も重要なことは、SARS-CoV-2を場内、特に動物飼育管理区域へ持ち込まないことである。
 COVID-19により新しい生活様式が求められるなか、ヒトと動物を守るために、非ヒト霊長類の生
 産現場において実施されている対応について紹介したい。


コロナ禍における生産場の対応
                       高木 久宜先生(日本エスエルシー株式会社)
 近年、新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)感染症による経済的・社会的損失が世界的に深刻な問
 題となっている。これらSARS-Cov-2感染症に対するワクチンや治療薬の開発は研究者にとって喫
 緊の課題であり、我々実験動物プロバイダーにはこれらを開発する際に用いる開発モデル動物の安
 定供給体制の維持が責務となっている。
 SARS-Cov-2感染症に対するワクチンや治療薬の開発において、シリアンハムスターが開発モデ
 動物として有用であることが示唆された。そのため、シリアンハムスターを用いてSARS-Cov-2感
 染症の研究を行う研究機関が急増してきている。
 ここでは、SARS-Cov-2感染防御のために日常行っている対策を含め、シリアンハムスターを含め
 た生産動物に対するSARS-Cov-2感染症に対する検査体制を紹介する。



セミナーU 「環境材料を用いた微生物モニタリングの検討・導入」

                      2021年10月16日(土) 9:15〜10:45


環境材料を用いた微生物モニタリングの検討・導入

パーソナリティ  丸山 滋先生(日本チャールス・リバー株式会社)

 げっ歯類実験動物、特にマウス・ラットを取り巻く環境は、近年大きく変化している。野生型から免疫不全動物、遺伝子改変・ゲノム編集動物へと変化した実験動物に連動し、部屋単位からケージ単位へと、より小さい単位で微生物統御が可能な飼育設備が登場、一般的に用いられるようになっている。統御対象の微生物もかつて主流だった顕性感染症から臨床症状を示さない不顕性感染症へと広がる中、これらの変化に応じた適切な微生物モニタリング方法を検討し、導入することが、実験動物施設に求められている。
 微生物モニタリングにおける環境材料の利用は、生体を用いた微生物モニタリングでは確実な結果を得ることが難しい個別換気ケージシステムを対象として発展、改良され、PCR技術の進歩とともに実用的かつ信頼のおける方法となった。現在では個別換気ケージシステムに限らず、広く実験動物施設で活用されるようになっている。本セミナーでは、従来の微生物モニタリング方法の欠点を補い、新しい環境に適した方法として国内でも注目されている、環境材料を用いたPCRによる微生物モニタリングに焦点を当て、具体的な検討内容や導入事例を紹介する。

【事例1】齋藤 直之先生((株)大塚製薬工場)
  従来の囮による微生物モニタリングから、施設の定期微生物モニタリングに環境PCRを導入された
  施設の方に、何故環境材料によるモニタリングの導入を検討されたか、どのようなご判断を経て導
  入されたか、導入にあたり苦労をされた点などを交えてお話しいただく予定です。

【事例2】寺門 一郎先生(滋賀医科大学 動物生命科学研究センター)
  生体の利用数削減を目標にEADのご検討をされておられる施設の方に、導入をご検討された経緯や
  導入後の期待について、数字や時系列等を交えてお話しいただく予定です。

【事例3】平山 晴子先生(岡山大学 自然生命科学研究支援センター)
  一方向気流ラックを使用されている施設で環境モニタリングをご検討されておられる方に、PCR検
  査導入をご検討された経緯や導入後の期待についてお話しいただく予定です。

環境材料からのPCR検査についていくつかの事例を報告いただき、その上で丸山先生に、EADの総括的なお話と定期モニタリング以外の環境PCRの利用について紹介していただきます。